家を売っても住宅ローンが残ってしまう!~任意売却の相談実例~

バブルという時代もありましたが、僕が不動産の世界に入ったのはバブル崩壊後のことです。

バブル期に高い金利で住宅ローンを組んだものの、リストラや給与賞与カットによって返済が苦しくなり、せっかくのマイホームを手放してしまうお客さんをたくさん見てきました。

-Contents-
1.Nさん(45歳男性)のケース
2.金利6%の時代
3.残った借金は一括で返済しなきゃいけない!?
4.そして任意売却へ
5.任意売却のメリットとデメリットとは?

1.Nさん(45歳男性)のケース

そんなお客さんの99%は、新築で買ったマイホームを売るとき、値段が下がっています。

ただでさえ新築→中古になるのに、購入時のバブルが拍車をかけます。

相談に来られた僕のお客さん、仮にNさん(45歳男性)とします。

都内への通勤に片道1時間半かかる埼玉のベッドタウン、駅から徒歩20分の3LDKマンションを、バブル末期に4000万円で買いました。

しかも、今じゃ考えられませんが、当時は金利6%なんてザラでした。

2.金利6%の時代

4000万円を金利6%、35年返済で組むと、毎月の返済額はいくらになると思いますか?

22万8000円になります。

総返済額はなんと、9500万円以上。借りた金額の倍以上の利息を払うわけです。

当時はそれでも郊外の戸建やマンションがどんどん売れた時代。

しかし、買って15年後にローンが払い切れずに売るときは、4000万円で買ったマンションが1000万円でも買い手が付かないんです。

Nさんに価格査定書をお見せすると「信じられない」という顔をされます。
でも、しかたない。本当に売れないんですから。

Nさんの総返済額9500万円のうち、15年経った時点では4100万円しか返済していません。
5400万円もローンが残っているのに、物件は1000万円でも売れない。

3.残った借金は一括で返済しなきゃいけない!?

さて、銀行が担保にとっている不動産を売却するには、残りの借金の一括返済が原則です。

でも、毎月のローン返済ができないのに、4000万も5000万もの借金を一括で返済なんてできるわけがありません。小学生でもわかります。

Nさんはまず銀行へ相談しました。
別の記事でも紹介した「リスケ」という方法(毎月の返済額を減らしたり、数ヶ月支払いを待つ)も銀行から提案されましたが、Nさんはマンションの売却を希望します。

ところで、Nさんのように返済が完全にストップした場合、金融機関は裁判所に競売の申し立てをするのが原則です。しかし、競売の申し立てには手間も費用も時間もかかるため、金融機関からお客さんに「任意売却」の提案をすることが広く行われています。

4.そして任意売却へ

Nさんも任意売却の方法を選びました。
銀行から僕の会社が紹介され、売却のお手伝いをすることに。

Nさんとの契約から数ヶ月を要しましたが、けっきょくその物件は800万円で売却できました。
ローンの返済額には遠く及びませんが、銀行は担保を外し、買い手さんには権利的にキレイな物件を引き渡せました。

売れた金額は、買ったときの5分の1です。

そこから売却経費を差し引くと、ローンの返済に充てられる金額は700万円。
実に4700万円もの借金が残ります。

もうマンションは他人の手に渡ってしまい、そこに自分は住んですらいないのに、何千万円もの借金が残る・・・

その借金を返済していこうなんて意欲がわく人は、かなりの努力家かポジティブ思考の持ち主でしょう。売却後は自己破産を選ぶ人が大半です。

5.任意売却のメリットとデメリットとは?

不動産を売ってそのお金で債権者に返済する。
そういう意味では競売も任意売却も変わりません。
任意売却には競売にはないメリット(とデメリット)があります。

メリット1:引越し費用を確保できる

任意売却では、引越し費用を経費としてもらうことができます(売却代金から経費として差し引く)
30万~50万円程度ですが、競売で引越しできるお金もないまま放り出されるよりはずっといいでしょう。

メリット2:売却したあとの金融機関の対応が優しい

銀行の提案を受け入れてくれたお客さんですから、売却して借金が残ったあとの対応が、競売でお金を回収した人とは明らかに違うようです。

このあたりはまた機会があれば別の記事でお話します。

デメリット:手間がかかる

デメリットはあまり思いつきませんが、あえて言えば「手間がかかる」こと。
銀行に手間がかからない事ということは、お客さんのほうに少し手間がかかる。トレードオフの関係ですね。
具体的には、内覧に協力したり、契約のときに不動産会社に出向いたり、など。
でも、引越し費用を確保できるのなら、そのくらいの手間は惜しまないほうが良いです。

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ABOUTこの記事をかいた人

1977年 北海道釧路市出身。 大学進学から上京するも、25歳までは、バイトなどで稼いだお金で海外バックパッカー→またバイト・・という生活を続ける。 26歳のときに一念発起。 独学で宅地建物取引士(当時は主任者)の資格を取得し、不動産業界に飛び込む。 10年間、不動産売買の仲介をメインに活動。 その後は土地分譲や不動産コンサルティング、賃貸管理など、活動の幅を広げる。 現在は愛媛県に移住し、住宅産業の仕事に関わる。 資格は宅建のほか、公認不動産コンサルティングマスター、インテリアコーディネーター、二級FP技能士、賃貸不動産経営管理士など多数。 家族は妻と1男1女。趣味は旅行。