不動産を共有名義で相続してはいけないたったひとつの理由

不動産と相続は相性がよく、この仕事をしていると相続に関する相談もよくされます。

相続財産の約5分の2は不動産なんです。

僕は税理士や会計士ではないので、相続の税金について具体的なアドバイスはできないのですが(税理士法に触れます)、相続のときに不動産のことは避けて通れません。

-Contents-
1.相続財産のなかの不動産の割合は41.9%
2.なぜ相続した家を共有名義にしてはいけないのか
 2-1.売却するときに苦労する
 2-2.二次相続が発生するとさらに厄介なことに
3.単独名義が理想だが・・・

1.相続財産のなかの不動産の割合は41.9%

平成29年の国税庁のデータによると、相続財産のなかの不動産(土地・建物)の割合は、41.9%

高齢者の親から子や孫への相続では、預貯金はほとんどなく、親の自宅しか相続した財産がなかった、というケースは多いんです。

逆に、不動産はないけどお金はたくさんあるというケースは、日本では少ないですね。

2.なぜ相続した家を共有名義にしてはいけないのか

わかりやすい例をあげますので、サザエさん一家に登場してもらいましょう。

  1. 波平が亡くなる(フネはすでに逝去)
  2. 相続人は子ども3人→サザエ・カツオ・ワカメ
  3. 相続する財産は自宅のみ(時価1500万円)

こんな感じにしてみました。

まず、相続人はサザエ、カツオ、ワカメの子供3人。
法定の相続は割合は、それぞれ3分の1です。

これはあくまで法律上の割合なので、当事者で自由に決められます。
サザエが100%相続して、カツオとワカメは1円ももらわない、のも自由です。

お金はほとんどなく自宅だけが相続財産。

さて、この土地と建物をだれがどんな割合で相続すればよいでしょう?


ここでやってしまいがちなのが、相続した不動産を3分の1ずつ、共有名義で相続してしまうことです。

お金で1500万あれば500万円ずつ分ければいいだけの話ですが、不動産は物理的に分けることができないので、仕方なく共有名義にするケースがとても多いのです。

しかし、これはやらないほうがいいです。

【理由】売却するときに苦労する!!

さてその後、サザエはマスオと離婚してタラちゃんと一緒にマンションへ住み替え。カツオもワカメも結婚して独立しているので、相続した家を売り出すことにしました。

売り出し価格を、時価よりすこし高い1600万円に設定。

しかし、1600万円ではなかなか売れず、数ヶ月たった頃、1300万円なら買ってもいいという人が現れました。
サザエとワカメは「それで売ろう!」そ乗り気ですが、ここでカツオが反対します。

「もう少し高い金額で売れるんじゃない?」

不動産を売るには、所有者全員の合意が必要です。
ひとりでもノーと言えば売れないのです。

極端にいうと、100人で共有してて99人がYESでも、1人がNOなら売ることができません(民法で「共有物の処分行為」といいます)

サザエとワカメは1300万円での売却をあきらめ、また買い手を探すことにしました。

しかし、いっこうに家は売れず・・・

空き家は月日の経過でどんどん傷み、固定資産税の負担だけが3人にのしかかります。

ちなみに、不動産の世界ではこういう事はよくあります。
物件を売り出して、いちばん最初についたお客さんが、いちばん良いお客さんなんです。
そこで欲を出してしまうと、そのあと全然売れず、けっきょく最初についたお客さんが一番条件が良かった、なんてことはザラです。

二次相続が発生するとさらにめんどうなことに!!

高齢化社会。90代の親から60代の子どもに相続、なんてことも珍しくない世の中。

親が亡くなって数年も経たないうちに、相続した子が亡くなる、というケースも出てきます。

実際、僕の親族でそんな事がありました。95歳の祖母が他界して1年も経たずに、70歳の長男が亡くなりました。

サザエが亡くなり、タラオのほか2人の養子がいたとすると、サザエがもっていた3分の1の権利は子供たちに9分の1ずつ相続されます。

これが二次相続です。
素晴らしくややこしくなりますね・・・

3.家はひとりだけで相続するのが理想

こんな事態を防ぐにはどうすればいいか。

相続人のうち、誰かひとりだけで全部を相続すべき

という結論になります。

このケースなら、たとえばカツオだけが家を相続することに決めます。

しかしそれではサザエとワカメが納得しないでしょう。

その代わり、カツオがサザエとワカメに500万円ずつ払えば良いのです。
(代償分割と呼ばれる方法です)

カツオが1500万円の家をもらうわけですから、もらえなかった2人にカツオが500万ずつあげれば、みんな平等。

しかし、代償としてポンッと1000万円払える人はそんなに多くない、というのが現実です。

そもそもその不動産が本当に1500万円で売れるのかすらわかりません
親が亡くなる前に売却先の目星を付けておくのが理想です。

そのあたりの詳しいことはまた別の記事でお話しします。

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ABOUTこの記事をかいた人

1977年 北海道釧路市出身。 大学進学から上京するも、25歳までは、バイトなどで稼いだお金で海外バックパッカー→またバイト・・という生活を続ける。 26歳のときに一念発起。 独学で宅地建物取引士(当時は主任者)の資格を取得し、不動産業界に飛び込む。 10年間、不動産売買の仲介をメインに活動。 その後は土地分譲や不動産コンサルティング、賃貸管理など、活動の幅を広げる。 現在は愛媛県に移住し、住宅産業の仕事に関わる。 資格は宅建のほか、公認不動産コンサルティングマスター、インテリアコーディネーター、二級FP技能士、賃貸不動産経営管理士など多数。 家族は妻と1男1女。趣味は旅行。